日本消費者協会 第9回「葬儀についてのアンケート調査」報告書を読む


※ 以下の記事は2010年10月03日の筆者のブログ記事を一部調整して転載したものです。

▽ 全国平均と実績平均の乖離

 先日 修養会の発題 に伺った教会の礼拝に出席してきました。
 礼拝後に教会員さんとおしゃべりしていると、聞いてくださってた方からこんな質問がありました。「葬儀費用に関して、全国平均とおたくの会社の実績値がずいぶん違うのはどうして?全国平均のデータが間違ってるの?」
 というのは、発題の中で私が「日本消費者協会のデータでは平均約230万(*1)なんて言ってますけど、葬儀社への支払だけで見た場合、ウチの昨年(2009年)の実績平均値は立替金(火葬料金など)も含めて約65万円でした。献金や食事代を足してもまあ100万といったところです。ですからそんなに心配しなくていいですよ。もちろん余裕があってもっと出してくださるとおっしゃるならウチは大歓迎ですけど(笑」などと言ったからです。(注:あくまでウチの料金です。他社との単純比較はできません)
(*1) 平成17年に発表された日本消費者協会の「葬儀に関するアンケート調査 第8回」の数字。宗教者のお礼や飲食費等を含めて、全国平均約231万円という結果だった。平成22年初頭には第9回結果が発表予定で、速報値では約200万円と下落した。

▽ 「平均」の捉え方

 さて、サンプルの取り方は多少ぬけているところがあるとさんざん指摘されている日本消費者協会のデータですが、拾った数字から出した平均値が間違っているわけではないでしょう。いちばん大きな問題はデータを読む側の、「平均」という言葉の受け止めかたです。
 ちょうどよさげなサンプルがありましたので紹介してみます。左の図はドラクエのスライム…ではありません。これは先日厚生労働省が発表した、平成21年国民生活基礎調査の概況の中の所得の分布状況をイメージ図に作り直したものです。今回は所得格差の話ではないので細かい数字は省きますが、「分布」「平均値」「中央値」「頻出帯」の関係はこのようになっています。
 一般に「平均」というと「世間並み」という感覚で捉えられることが多いのですが、図でわかるように「世間(大衆)」と言うに適当な頻出帯は平均値の遙かに下にあります。「平均だからみんなこれくらいなんだ」という感覚そのものが大きな誤解なのです。
 日本消費者協会のデータも詳細なものがまだ手元にないのではっきりしませんが、おそらく図にすると同じような形になっているハズです。実感でもそうですがそれ以上に、当然の話ですけれど収入がなければ消費にも回せませんので、所得の分布と消費の分布はある程度似通ってくるのが自然だからです。

 というわけで、全国平均を下回っているからといってそれが必ずしも「安い」ということではありませんし、無理をして平均を目指す必要もまったくないわけです。あまり平均値にばかり囚われずに、それぞれの家庭で出せる予算と内容の希望をよく摺り合わせて考えてください。

▽ 注意

 なお上の金額に関して一応補足しておくと、日本のキリスト教葬儀では主に式場は所属教会の礼拝堂を使うことなどから、「式場使用料+宗教者御礼」に相当する部分が一般的な仏教葬儀より安くなる傾向があります。ですから逆に「100万あれば何でもできる」とは思わないでください。また阪神間では一般参列者に対する通夜振る舞い(通夜の出席者に食事を振る舞う)の慣習などもほとんど見られませんので、そういったことを行う地域はより費用がかさむなどの違いもあります。重ねてご注意ください。



※ 以下の記事は2010年11月27日〜12月2日のブログで書いた『第9回 「葬儀についてのアンケート調査」考察@〜E』を一本にまとめたものです。体裁やリアルタイムでないとわかりにくい部分は多少修正しています。
 題材としたテキストは「財団法人 日本消費者協会」が2010年11月下旬に発行した『第9回 「葬儀についてのアンケート調査」報告書』です。

 どこからツッこんだものか迷ったので、とりあえず一般の方が一番興味ありそうな葬儀費用に関する部分をグラフに起こし直してみました。
 このアンケートでの回答区分は「@通夜からの飲食接待費」「A寺院の費用」「B葬儀一式費用」それと別に「C葬儀費用の合計」(合算値ではない)となっています。すべての区分はバラバラに回答されているので、ある区分には答えても他の区分には答えていないというケースがあります。物理教師[*1]さんは前回調査[*2]に対してこの点を、「実際にお金を払っていない人が伝聞で過大な金額を回答している可能性が高い」と指摘しています。今回で言えば、Cの回答者221名の内で実際に施主になったと推測できる人は97名(ABの回答者数)です。

 表内の赤線は数値が公開された平均値ライン緑線はサンプル数から推定した中央値ラインです。

@通夜からの飲食接待費

回答者数:73名

最大値:450.0万円
最小値: 1.5万円

平均値:45.5万円

推定中央値:約18.3万円
A寺院の費用

回答者数:97名

最大値:188.0万円
最小値: 1.0万円

平均値:51.4万円

推定中央値:約43.5万円
B葬儀一式費用

回答者数:97名

最大値:500.0万円
最小値: 10.0万円

平均値:126.7万円

推定中央値:約111万円
C葬儀費用の合計

回答者数:221名

最大値:810.0万円
最小値: 20.0万円

平均値:199.9万円

推定中央値:約173.6万円

 先日の予想[*3]通り、推定中央値はすべて平均値よりも下にありますので、もっとたくさんのデータを取れば下膨れスライム型のグラフができるでしょう。また懸念の通り「\0」はデータから除外されている(少なくとも@やAには\0があるはずです)ので、実際の平均値や中央値はさらに下がると見てよいでしょう。

[*1] 「考える葬儀屋さん」を標榜する、某大手葬儀社に勤める先輩ブロガー。 「考える葬儀屋さんのブログ
[*2] 2007年に第8回報告書が発行された。
[*3] このページの冒頭に転載した、2010年10月3日付ブログ記事


 さて、本当はもう少し細かい数字を追っていきたいところなのですが、報告書自身が「…限られたデータでの単純な平均額であるので、数値のみにとらわれることがないよう…」とデータの信憑性を肯定していない(!)ので、そこはそれ以上ツッこまずに全体から見えることを考えてみたいと思います。

 先ほど前回調査における物理教師さんの指摘を引用しましたが、実は今回は様相が違います。次のグラフは、区分@〜Bの平均の合計と、Cの平均を比較したものです。



 ご覧のように、関東B・中国を除く他全ての地域で@〜Bの平均の合計がCの平均を上回っており、中には2倍に達する地域もあります。差が極端なのはサンプル数そのものが十分でないからですが、傾向として「個別の費用を把握している人よりも、全体の費用を答えた人の方が少ない金額を言っている」ということがわかります。つまり、前回分に対する物理教師さんの指摘とは逆の現象が起こっているわけです。

 では、回答者の多くが個別の費用を把握していないのはなぜでしょうか。ひとつは物理教師さんが指摘するように、「回答者がすなわち喪主・施主であるとは限らない」からですが、ほかにももっと単純に「個別の金額を初めから知りえない」というケースがありえます。例えば葬儀社による「飲食費やお布施までをも含んだパック」による葬儀がその代表です。昨日指摘した飲食費などの「\0」も実はこれが大きく含まれているのではないでしょうか。これは近年の「家族葬ブーム」やピントのずれた「料金明瞭化合戦」などの影響によって、小規模「ポッキリ」パックを提案する葬儀社が増えているために、逆に個別の商品の料金が不透明になっている可能性を指摘しておきたいと思います。
 この裏付けとして、同調査による「葬儀費用の決め方」(p.15)で「葬儀一式○○円で決めた」18.4%、「およその金額で決めた」11.6%、「一切を葬儀社に任せた」8.2%、「内容だけ決めた」4.2%、「その他・(グループなどで)決まっている」などを挙げておきます。

 また、これまで葬儀に対してあった「お金をかけた方が立派な葬儀」だという意識が崩れ、逆に「コンパクトに済んだ方が良い葬儀」だという意識が広がり、実際がわからないなら「むしろ過小に答える」ように変わった可能性も否定できません。これはデータの読み込みではなく現場の実感ですけれど。



 もう一点、どうしても指摘しておきたいのが、近年増加の傾向にあると言われている、いわゆる「直葬」などの扱いについてです。この調査自体は一般的消費活動における実態調査であると考えられますが、こと葬儀に関してはその「一般」そのものの定義が難しく、またそうであれば本当に全体的なバランスの良いデータを集めるか、条件を絞るべきです。本調査では条件を絞っていませんので、全体を示しているはずなのですが…

 本調査Cにおける最低金額区分は「20万〜30万」(20万以下がないということにも注意)ですが、この区分に該当するのは回答者221名中わずか2名0.9%)。さらに東京23区では近年、直葬が3割に達しているのではないかという推計があるにもかかわらず、東京23区を含む関東Bブロックの最低値は30万〜40万(しかも3件・ブロック内9.1%)となっています。つまり、社会実態に対してこの調査はいわゆる直葬などがほぼ含まれていないものである、ということが言えます。
 従って、本来であれば「一般的に想定される公開された葬式を行った場合の平均的な費用」と言うべきなのですが、これまでに見てきたようにマスコミ等は「日本で行われる(すべての)葬儀の平均的な費用」として受け取り、「ほーら、日本人はみんなこんなに高い費用をかけているんだよ」と安易に報道していることに強い不満があります。ここはタイトルないし条件付けをきちんと見直し、家庭の事情による選択の幅をきちんと明示していく努力が調査・報道双方に求められます。

 さて、これまで「この平均値は実際よりも高いんじゃないか」という話ばっかりしましたが、公平を期すために逆に「実はもっとするんじゃないか」という話もしておきたいと思います。
 この調査では葬儀の際に実際に支払った費用について回答を得ていると思うのですが、例えば「冠婚葬祭互助会における前払い割賦金(積立金)」や、「全葬連のif共済等の掛け金(入会金など)」など先払い費用については加味されていないのではないでしょうか。消費者にとって有益なデータとするためには、これらを加味した総費用を集計し、さらに専門葬儀社・冠婚葬祭互助会等の別によって比較できるようにすべきだと思います。
 さらに費用が加わるとすれば、「死亡診断書発行手数料」「死後処置料」「行政解剖費用」等、そしてAに加えて満中陰までのお布施等(このデータでは多くの場合初七日まで)も含むかどうか条件付けすべきかもしれませんね。

 これらのことを考え合わせていくと、この調査の葬儀費用に関するデータが示すことはおおよそ次のように纏められるでしょう。

T. このデータは一般的に想定される公開された葬式を行った場合の葬儀費用である。これはいわゆる直葬に代表されるような特殊・廉価な葬儀を基本的に含まない。
U. 全体費用(C)の平均は約200万円だが、回答の内約66%はこの平均以下である。
V. この金額は葬儀施行に際して支払った金額であり、互助会積立金など前払い金を含まない。また、実質的には選択の余地のない死後処置料なども含まない
W. この統計は集まったサンプルが少ないため、数的な正確性を保証するものではない。また、葬儀に関する消費者の選択の多様性を否定するものでもない

 最低限これらのことを踏まえた上で、報告書に書かれているように「…数値のみにとらわれることがないよう留意されたい」と言えばまあ、まだなんとか「資料」と呼んでも差し支えない…かなぁ、どうでしょう(汗



 費用の話は一段落ということにして、ほかの部分についても見ていきましょう。

 まずこれはぜひ、と思うのは「宗教」に関する話。近年メディアや雑誌・書籍などでは極端な宗教バッシング、特にいわゆる「葬式仏教」を批判する論調が多いのはご存知の通りですが、このアンケート調査ではある種興味深い結果が出ています。
 設問『望ましい葬儀のかたち(複数回答)』(p.60)では、選択項目のひとつとして「宗教行事はしてほしくない」という項目があります(そもそもこれを「宗教行事をしてほしい」にしないあたりに編集部の恣意性を感じますけれど)が、この項目を選択した人はわずか7.1%に止まっています。逆に言えば、92.9%の人は何らかの形で宗教的な儀礼を要望しているわけです。
 しかしまた同時に、設問『葬儀を経験して困ったこと(複数回答)』(p.32)の回答結果の筆頭は「心づけやお布施の額」(47.3%)ですから、多くの人は葬儀において「宗教的儀礼は行ってほしい。けれどもお寺のことは分からない」と思っているという状況を如実に表していると言えるでしょう。宗教者各位はぜひこのことをしっかりと受け止め、一般の人々との対話コミュニケーションの拡充、適正な情報公開をしていってほしいと思います。マスコミの揺さぶりにいちいち動揺しているヒマなどありません。

 ただし、「宗教的な儀礼をする」ということが必ずしも「これまでと同じことをする」ことだとは言えません。設問『葬儀の印象(複数回答)』(p.45)の回答結果の筆頭は「形式的になりすぎている」(42.2%)となっています。これは宗教的なことだけでなく葬式のスタイルそのものについての感想ですが、宗教儀礼が形骸化してただ流れていくだけ、と感じている人も少なからず含まれているでしょう。「葬儀業界が宗教者をパーツ化している」という批判が宗教界からも時折聞かれますが、そうであればそれを葬儀業界だけのせいにせず、宗教者側がまず「脱パーツ化」していかなければならないでしょう。
− ◇ − ◇ − ◇ −
 ところで、設問『葬儀の形式』(p.6)では費用の回答もした294名に「どの宗教で葬儀をしたか」を訊ねています。大区分では仏式90.1%と圧倒的で、次点の神式3.4%に大差をつけています。(なお無宗教は2.4%)
 さらに仏式の中でどの宗派でしたかということも質問してるのですが…

仏式の場合の宗派を尋ねたところ、浄土真宗が40名、曹洞宗18名、真言宗17名と続いた。
 (集計表)
 浄土真宗 40名
  (…略…)
 真宗 2名 、 真宗大谷派 2名 、 浄土真宗大谷派 2名 、 浄土真宗本願寺派 2名 …

  (ほか、「東本願寺」2名「大谷派」「浄土真宗(東)」「浄土真宗東本願寺」「高田」「西」各1名)

  チョット待て(滝汗

 要はこれ、みんな浄土真宗のことなのに、記入型にしてるのをそのままピックアップしているわけです。30年近く調査してるんならこれぐらい…せめて回答を選択式にするとか…orz...ガックリ
 ということで、浄土真宗は有効回答128件中55件(43%)でした。ほかにも「禅宗」(曹洞宗など数派の総称)や「神言」(おそらく「真言」の間違い)、「浄土新派」(不詳)、「法華経」(宗派ですらない)などの項目もありました。
 まあそれでも一番目を引いたのは、「無回答・不明・その他」137名(265名中)でした。宗派にまでは興味や認識がない人も多いようですね(汗



 業界の評価と課題についても少し見てみましょう。

 まず葬式の施行・サービスについての評価は(案外)良好です。「葬儀を依頼した業者に対する感想」では、
  ・「手続きや手順の説明について
  ・「安心して任せることができたか
  ・「親身になって手配してくれたか
  ・「社員の態度や行儀
  ・「助言が必要なとき、手際よく教えてくれたか
  ・「進行は良かったか
のすべての設問で、「良かった」「普通」を合わせると90%を超えていました。ここは自信を持ってさらに励んでいけばよいところだと思います。

 費用の妥当性については「妥当だと思う」「やむを得ない金額だと思う」「思ったより安い」が合計で53%、「非常に高い」「やや高い」が24%、「わからない」が15%などとなっており、一応は過半数が肯定的でありながらも不満や戸惑いを持つ人も多いということが表れています。ここは業界が情報開示を進め、なぜお金がかかるのかということを説明したり、企業の比較検討ができるように工夫していかなければなりません。
 関連して「価格表、カタログで説明を受け、見積書(請負書)を受け取った」人は67.3%とまだまだ低く、こちらも丁寧な説明と同意確認を徹底し、説明責任や消費者保護の意識を高めていかなければなりません。特にこういった問題は個人よりも事業所単位で発生しますから、業界団体の指導力も一層問われるでしょう。

 「近くの葬儀社を知っているか」という設問では80.3%が「知っている」と答えていますが、東京・名古屋・大阪を含む地域ブロックでは関東B(63.1%)・中部B(79.1%)・近畿(66.9%)と平均を押し下げています。都市部では地域定着性視覚化エンドユーザーとの触れ合いの程度が低いと言えるのではないでしょうか。葬儀に関する相談事(情報入手)をする先も、この地域では「インターネット」という回答が他地域よりも多いという結果になっています。なお北海道も66.2%しかありませんが、これは単純に「近く」にないことが多いから(?)かもしれませんね。
 ではもっとPRすべきかというと、葬儀社のPRを「ぜひすべきである」「するほうがよい」という肯定的な意見は合計で50.9%、「特別しなくてもよい」「まったく必要ない」という否定的な意見は46.8%と拮抗しています。手法や程度によっては目障りだと感じる人も多いわけですから注意が必要です。

 「葬儀についての相談先(複数回答)」として最も多いのは「親族」の47.5%、次いで「葬儀社」の41.5%となっています。親族とは内容について、葬儀社とは実際についての相談が中心でしょうからこの比較はあまり意味がありませんが、専門業で4割というのは少し低いと思います。業界の情報発信が不足していたり、適正でないという警戒感が根強いと言えるのではないでしょうか。なお3番目にはとうとう「インターネット」(33.3%)がランクイン。先だってから物理教師さんもたびたび業界のネット情報について苦言を呈しておられますが、業界側が正しく丁寧な情報を発信するとともに見る側にも情報の質を見分ける力がますます必要になってきます。



 さすがに長すぎるのでそろそろ〆ておきたいと思います。最後のテーマは「一般の人がわからないこと」です。

 設問「葬儀を経験して困ったこと(複数回答)」では、1位が前述の「心づけやお布施の額」(47.3%)、以降、
  「葬儀の手順が分からなかった」(36.1%)
  「通夜・告別式の接待の仕方や手配」(34.7%)
などとなっています。さらにこれ以降には具体的に困ったこととして「会葬者数が予想を超えた」とか「親族間で意見が食い違った」などが20%以下で並んでいますが、この上位3件との開きを見ると消費者が葬儀において一番困ることは「わからないこと」それ自体だと言えるかもしれません。

 消費者が「葬儀について知りたい事項(複数回答)」という設問では、「葬儀費用について」が68.4%でトップ、次いで「準備しておくべきこと」(49.1%)、「葬儀の手順など一般的な知識」(42.5%)と多く、その下は急に離れて「いろいろな葬儀の仕方(スタイル)について」(27.5%)などとなっています。メディアを見ていると個性的な葬儀がもてはやされているように思えても、実際には突飛なことよりも実務面での堅実な情報が求められているようです。
 なおこの設問の中では「家族・係累がいない場合の方法について」という回答も10.4%ありました。葬儀業の社会的責任を考える上で喫緊の課題と言えるでしょう。

 ほかにもアンケートの中で特に目を引いた「誤解」をいくつか挙げてみましょう。

 設問「葬儀の依頼先」では1位「葬儀社」(70.8%)、2位「冠婚葬祭互助会」(16.0%)などとなっていますが、後の設問「葬儀終了後の葬儀社や互助会のアフターサービス(自由記述、[ ]内は依頼先)」を見てみると、
互助会の会員にならないともっと費用がかかると言われ…(略)…この葬儀社に頼んだのは失敗だったと思う…(略)… [葬儀社]
直後に結婚式や葬儀の広告をもらい、嫌な気分になった。 [葬儀社]
など、専門葬儀社と冠婚葬祭互助会の区別がついていない人が散見され、葬儀社と答えた人の中にも少なからず互助会に依頼した人が含まれることがわかります。これは前回調査以降にも碑文谷創師をはじめ何人ものかたが指摘しておりましたが、改善は見られていないようです。

 また「墓を持っているか」という質問に対して「持っていない」と答えた人に今後の心づもりを質問していますが、その回答の中には「はないが墓地はあります」といった記述がいくつか見られました。墓・墓地・墳墓・墓石などの具体的な違いがよく分からない人も少なくないようです。またよくある誤解ですが「墓地を買いました」という表現も見られ、契約の様態をきちんと把握していない人もまだまだ少なくないようです。
 ただしこれらは当該の質問文など見る限り日本消費者協会もよく分かっていないようで、墓や墓地といった言葉がまぜこぜになっています(汗
− ◇ − ◇ − ◇ −
 さて、駆け足で追ってみましたがいかがでしたでしょうか。また補足を思いついたら書きます。ちなみに私の感想は、「どう見てもこれ、消費者向けじゃない(汗」でしたけれど…

 これらの情報はただ「ある」だけではさしたる意味もありません。読み手によってそれがどう解釈されるのかが大きなポイントです。その意味ではこのシリーズも「私の解釈」の域を出ませんが、なにがしかの参考、また考える機会になれば幸いです。日本消費者協会の編集グループの皆さんもお疲れさまでした。


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