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質問
夫婦で宗教が違うので、葬儀を2回挙げることはできますか?
回答
可能ですが、まったく同じ意味合いにおいての葬儀を二度、ということではありません。

 「葬儀を2回挙げる」というと驚かれる方もあるかもしれませんが、たとえば会社や団体が主催するお葬式や、著名人のお葬式を思い起こしてみてください。まず火葬を伴うお葬式を近親者だけで執り行い(これを『密葬』と呼びます)、後日あらためて関係者をお招きして「告別式」や「お別れ会」といった形で式を執り行われるケースが見受けられます(これを『本葬』と呼びます)。葬儀業界ではそれぞれ前者を『遺体葬』(御遺体を前にして行われる葬儀)、後者を『遺骨葬』または『骨葬』(御遺骨を前にして行われる葬儀)と呼ぶことがあります。
 「遺体を前にしたお葬式が本当ではないのではないか」と思われるかもしれませんが、地域によってはむしろ、葬儀式の前に火葬・収骨を済ませて、御遺骨を前にしてお葬式をするのが一般的な慣習となっているところもあります。

 さて、ご質問では「夫婦で宗教が異なるため」とのことですね。ではたとえば、ご夫婦の一方が仏教でもう一方がキリスト教であると想定してみましょう。まず、当事者(ご家族やご親族)の心情的な部分を鑑みますと、火葬を伴うお葬式(遺体葬)をどちらの宗教で執り行うのか、という点を熟慮される必要があるでしょう。心情的にはどうしても、遺体葬が “本番” のように感じてしまわれることが少なくないかもしれませんので。
 こうした問題を回避するためには、事前にご本人の意思が表明されていることがいちばんでしょう。ご本人の口頭でもいいのでしょうが、遺言、或いは昨今では「エンディングノート」というツールもありますので、ご本人の意思がご家族に伝わる術を考えておかれた方がいいでしょう。

 そしてもうひとつ。可能であれば、それぞれのお葬式を司っていただく宗教者(僧侶、牧師や神父)に事前にご相談されることをお勧めします。仏教・キリスト教それぞれのお葬式を終えられた後、いつの日かご本人の御遺骨はお墓や納骨堂に「納骨」されることになるでしょう。これは経験者でないと分からないことなのですが、たとえば遺体葬をキリスト教で挙げられた後、遺骨葬を仏教で挙げられるとします。そして仮に、納骨するお墓はお寺の管理する墓地にあったとします。すると、墓地管理者であるお寺が納骨を受け入れてくれないというケースもあるのです。実際のところ、こういったケースは稀ではあります。しかしやはりそのあたりも踏まえて、事前にご相談されておかれるのがベターだということなんですね。
[ 回答者:岡田守生 ] 2013/11/21
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実務者・研究者への補足
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