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質問
司式者の行動や指示で、困ったことはありますか?
回答
答えにくいですねぇ(;´Д`)

 まあ一般的に、あくまで一般的に、葬儀屋さんが困ることがあるとすると、「時間」のことが一番でしょうね。出棺予定時間が近づいても葬儀が全然終わる気配がなく、火葬場の時間を気にしてヒヤヒヤする…なんていう経験は、葬儀屋さんなら必ずあるはずです。
 打ち合わせで葬儀の時間を決める際、たとえばプロテスタント葬儀なら、牧師にまず前奏から後奏までの礼拝のプログラムにかかるだいたいの時間を確認します。それに遺族挨拶や弔辞弔電、献花、場合によっては出棺式などにかかる時間を加え、また火葬場までの移動時間を考え合わせて、開式の時間と火葬場の予約時間を決めます。ところが、牧師の説教が聞いていたよりずいぶん長かったり、愛唱讃美歌が多かったからと曲数を増やしたなどで、礼拝が予定通りに終わらないということもたまにあります。都市部の忙しい火葬場では、「予約時間の前後15分以内ぐらいを目安に入場するように!」などと言われることもよくあるので、説教が10分延び、讃美歌が1曲増えれば、それだけでタイムオーバーになる場合もあるのです。もちろん、大抵はそれだけでなく、遺族挨拶や弔辞で話し出したら止まらない、想定以上の人数が来て献花が終わらない、などの原因が重なり合って時間は押していくのですが、まずは礼拝部分が予定通りに終わってほしい、というのが葬儀屋さんのホンネですね。

 そのほか、個人的にこれまでに困った、というか「どうかなぁ」と思ったこととしては、昔に何度か、納棺の際に「讃美歌を歌いながら納めてください」と言われたことでしょうか。
 葬儀屋さんであれば、知っている讃美歌なら楽譜を見ないでも歌いながら納棺することは難しくありません。しかし納棺の際には可能ならばご遺族にも手を添えてもらいます。ご遺族は多くの場合、ご遺体を抱えることに慣れていませんし、クリスチャンばかりとは限りませんので、讃美歌を歌うことにも慣れていない場合が少なくありません。すると、納棺に意識が行くと讃美歌が止まり、讃美歌に意識が行くと納棺に腰が入らず、結局どちらにも集中できない、ということが起こってきます。讃美歌が響く中で棺に納められるというのは、イメージとしては美しいのですが、納棺も讃美もどちらも大切なことですから、それぞれにご遺族が集中できるように分けて行うほうがよいのではないかと思います。
[ 回答者:高見晴彦 ] 2016/07/06
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実務者・研究者への補足
 「讃美歌を歌いながら納棺する」というのは、「日本基督教団 式文 (試用版)」(日本基督教団出版局発行,日本基督教団信仰職制委員会編,2006年)の中の「葬儀諸式-2 葬儀の諸式について」において、一つの方法として記述されています。これ以前の式文、「日本基督教団 口語 式文」(出版局・編者同じ,1956年)の納棺式の項にはこういった記述はありませんが、埋葬式(土葬)の項において、「讃美歌(この間に埋葬する)」という記述があることから、新式文はこれを参考にしたのではないかと考えられます。