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質問
所属教会で家族葬を考えております。家族親族以外の参列は例外なく辞退したいのですが可能でしょうか?
回答
キリスト教葬儀の本質を理解したうえで、お葬式を依頼する牧師(司祭)とご相談ください。

 昨今よく言われております「家族葬」ですが、この定義はかなり曖昧なものとなってきております。本来の家族葬の定義は、ご質問にありますように「家族・親族のみの参列するお葬式」ということでした。しかし現在、多くの方の理解として「家族・親族と、親しい友人たちをお招きする小規模なお葬式」というのが一般的なようです。以前のお葬式では参列者を限定することは少なかったのですが、今日では、亡くなられた方がご高齢の為などの理由から、特にお仕事上のお付き合いのある方などの参列を辞退する傾向にあります。これが「お葬式の小規模化」の主だった要因かと思われます。

 さて、ご存知の方もあるかと思われますが、特にキリスト教葬儀の場合、家族・親族以外の人間は例外なくお葬式の場に居合わせないようにするということは少々難しいものです。一般的に、キリスト教葬儀の典礼は司式者(牧師・司祭)がいれば成立するというものではありません。キリスト教葬儀の典礼は、亡くなられた方を天国に送り届ける為に神様を賛美するものです。お葬式の典礼において「賛美歌(聖歌)を歌う」ことが、大きな意味をもつものと考えられております。そのために奏楽者(オルガニスト)がいて、家族や親族とともに讃美歌(聖歌)を歌うための賛美歌隊(聖歌隊)がいることが望ましいと考えられます。ご質問のように、家族親族以外の参列を「例外なく辞退する」となると、神様を賛美するという典礼の、重要な部分がおろそかになってしまうということにもなりかねません。
 一般的なキリスト教葬儀の理解として、お葬式とは「大きな悲しみのなかにありながら、死者の魂が天国へ旅立つことを喜びのうちに見送る」という考え方があります。私たちクリスチャンは、そこに神様への信頼をおきます。賛美歌(聖歌)を歌うことは「神様への信頼を証しするもの」であるということを、私たちは深く噛みしめたいものです。
 時折ご家族から時折尋ねられることに「奏楽者(オルガニスト)や賛美歌隊(聖歌隊)にわざわざ来てもらうのは申し訳ない」というご意見があります。しかしそれはご家族がご心配いただくことではなく、あくまでも教会サイドに委ねられることとお考えいただければよろしいかと思います。

 ただ一方で、ご家族それぞれに様々な事情があるケースも考えられます。
 亡くなられたご本人の思いやご家族の思い。
 特殊なご事情でお亡くなりになられてしまったというケースもあるでしょう。
 こうした事情もまた、教会は充分に配慮することが求められます。ご家族のご事情によっては、教会はご家族のご意向をしっかりと受け止めて、可能な限り善処していただけるはずです。
 いずれにしてもここで大切なことは、家族親族以外の参列を辞退することを希望する、その理由です。そのようなご希望をお持ちの方は、お葬式を執り行われる前の段階でそのあたりを司式牧師(司祭)にご相談ください。そのうえで、どのようなお葬式のかたちが最も相応しいのかをお考えになるのがよろしいかと思われます。
[ 回答者:岡田守生 ] 2016/07/12
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実務者・研究者への補足
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