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質問
お葬式にはいろいろな習わしがありますが、キリスト教葬儀でも守った方がいいでしょうか?
回答
守らなければならないというものではありません。

 まず、よく知られている習わしをいくつか列挙してみましょう。
@ 友引の日にはお葬式をしないほうがいい。
A 火葬場の往復の際は、行きと帰りで違う道を使う。
B 死者の衣服は死装束を着せる。その着物の衿は左前にする。
C 妊婦はお葬式や火葬に参列してはいけない。

 まず@に関する基本的な知識として、友引とは『六曜』という、暦に記載される付記のようなもの(暦注)のうちのひとつです。その起源は諸説ありますが、中国で生まれたものが日本に伝わり、今日の日本でも縁起を担ぐためのものとして認知されています。しかしこれに宗教的な関連性は無いものとされておりまして、キリスト教はもちろんのこと、仏教や神道にも本来的には関係ないものと考えられております。「友引」という文字から「この日にお葬式をすると、死者が友人たちをあの世へ連れ去ってしまうから」というのが所以なのですが、友引自体にもそのような意味はないとされております(以前は「友引」ではなく「共引」と表記したという説もあります)。以上のことから「友引の日にお葬式をしないほうがいい」というのは俗信であるということになります。
 ただ現実的に、今日でも多くの火葬場が友引の日に休業日を設けております。よって火葬を伴うお葬式は、宗教に関係なく友引の日に行うことが出来ないというのが実態であります。逆に友引の火葬が可能であれば、その日にお葬式を行うことも問題ないと考えて差し支えないでしょう。

 Aの「火葬場への往復に使用する道」についてですが、これは行きと帰りの道を変えることで、帰り道に死者の魂がついてこないようにするためといいます。しかし(お分かりのことと思いますが)そこに何らの根拠はなく、これもまた俗信であります。特に私たちクリスチャンは、死者の魂は皆天国へ旅立つことを固く信じます。私たちはそこに神の救いの御業があることを、喜びをもって信頼するものでありです。

 次にBにある「死者の衣服」についてですが、特に仏教葬儀の場合(宗派にもよりますが)「死装束(真っ白な着物)」を着せたりします。これは死者があの世へ旅立つための衣服と考えられており「旅装束」ともいわれます。しかし私たちクリスチャンの場合、天国へ旅立つための衣服が定められているわけではありません。亡くなられた方がお好きだった衣服、亡くなられた方に相応しい衣服をお着せしてお送りすればいいのです。亡くなられた方に和装をお着せする際の衿の問題ですが、これは「死者と生者とは逆であるべき」といった考え方によるものであり、そこには何らの宗教的根拠があるわけではありません。

 最後にCに挙げた「妊婦の葬儀への参列・火葬場への同行」についてですが、これは「胎児が死者に連れて行かれるかもしれない」「胎児に良くないことが起こるかもしれない」といった、一種の畏れからくるものと考えられているようです。しかし、やはりそこに何らの根拠があるものではありません。
 ただ妊婦ご本人にしてみれば、体内に宿る新しい命が少しでも健やかな状態で生まれることを望むのも当然のことです。特に妊婦が葬儀へ参列することで、体力的・精神的ストレスのかかることが懸念されるということもあるでしょう。そのような場合は決して無理をなさらず、参列を控えられるという考え方もあります。つまり俗信を畏れて参列しないのではなく、妊婦の体調を考えて参列を控えるということです。そして私たちが留意しなければならないことは、妊婦が葬儀参列を控えられることを決して非難したりしないことです。
[ 回答者:岡田守生 ] 2016/07/23
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実務者・研究者への補足
 特にありません。