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質問
所属葬儀の葬儀では、特定の葬儀社に依頼することが慣例になっています。他の葬儀社に依頼したいとも言いづらいです。他の教会ではどのようにしているのでしょうか?
回答
教会員が協力し合えば、幅広い葬儀社を用いることができるでしょう。

 キリスト新聞(キリスト新聞社刊)3423号にご意見として掲載されましたが、類似のご質問は時折あります。癒着の構造に繋がりかねないという懸念を抱いている方も少なくはありませんが、実際のところ、多くの場合においては、特定業者を使用する慣例はその葬儀社への信頼によるものと考えて差し支えないと思います(もちろん、一部のケースとして、葬儀の請負実績に応じて葬儀社から教会へリベート様の献金があったり、司式者に謝礼が渡されるようなケースについてはなんともいえませんが)。
 教会・司式者と葬儀社の連携がうまくいかないと、ご遺族に対して十分な寄り添いを行うことは難しいものです。これは互いの理念への共感についてももちろんですが、実務上の利便性についても重要です。というのも、葬儀は司式者の日常のお務めの上に突然生じますから、そのご苦労はいかばかりかと思います。特にプロテスタントでは、司式者は短い時間の中で前夜式・葬儀の説教もお考えになりますし、式次第の印刷、奏楽や受付の奉仕者の手配、問い合わせの電話への対応など、小さな教会ではそのほとんどを司式者が行うことも少なくありません。そのような中で、葬儀社がその教会のやり方に慣れていなければ、様々なところで指示を出すために時間を割かなければなりません。例えば私たちもキリスト教葬儀の専門葬儀社ですが、それでも初めてお手伝いする教会では、棺の位置や向きをはじめ、椅子を動かしたり台所を使うにもそれぞれ確認させていただきますから、たとえ一般葬儀社であっても過去にその教会で幾度か葬儀を請け負ったことのある業者のほうが司式者の手間が省けるということは十分にありえます。
 さて、お知りになりたいという他教会の事例ですが、葬儀についての規約や手引きを作成している教会であれば、「葬儀社の選択は遺族の希望を尊重する。ただし特段の希望がなければ、○○社または△△社を使用する」などと定められていることが多いようです。手引きなどが無い教会では、教職などが直接相談に応じ、同様の対応を行っているところが多いでしょう。一部、数社を挙げて1位から順に請け負えるところに依頼するとか、ローテーションで依頼するなどと定めているところもありますが、全体からすると稀でしょう。そして遺族の希望があるのにわざわざ別の葬儀社を指定するということは、これも全体からすると少数であると思われます。ですから、使用したい葬儀社がある場合には、忌憚なく教職にご相談になられたらよいでしょうし、だめと仰るなら理由をうかがってみるべきです。
 ところでお勧めしたいのは、こういった事情を踏まえ、どのような葬儀社でも受け入れられる体制を、それぞれの教会の皆さんが創っていっていただきたいということです。例えば葬儀の委員を組織して、その教会で葬儀を行う際の手引きを作る、印刷や手配、電話応対、葬儀社への指示などを分担する、教会の鍵と転送電話用の携帯電話を当番で回し、急なご遺体の受け入れにも対応できるようにするなどして、司式者の負担を軽減することができれば、新しい葬儀社でも使用しやすくなることでしょう。キリスト教会全体が高齢化しているいま、葬儀はますます増えていきますから、皆さんでお考えになるよい機会にしていただければと思います。

[ 回答者:高見晴彦 ] 2016/12/01
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実務者・研究者への補足
 特にありません。