株式会社シャロームにおける2016年度のキリスト教葬儀に関する統計


はじめに

 この資料は、株式会社シャロームにおける2016年度の葬儀に関する統計です。当社における一年間の葬儀から、現在のキリスト教葬儀の大まかな傾向を分析することで、キリスト教葬儀(プロテスタント葬儀)の動向やご遺族・教会のニーズを理解し、日本のクリスチャンのためのより良い葬送環境の整備に資することを目的として作成しています。なおこの目的から研究や教会内における会議・学習会などの資料としてご利用いただくことはできますが、それ以外の使用・転載などはご遠慮ください。
本データについて

◆データの範囲
 株式会社シャロームにおいて、2016年1月1日〜12月31日に葬儀葬式を行ったものの内、プロテスタント葬儀の様式によって行われたもの。
 ただし、社葬・団体葬などの大型葬儀、死産児や新生児の葬儀など、一般的な葬儀とは規模を異にするものについては、本統計の趣旨に合わないためデータから取り除いています。
◆亡くなった方や主宰者の属性、および葬儀の様態について
 各項目ごとに詳細を示します。
◆費用について
 この資料の金額にはすべて消費税(8%)が含まれます。ただし、火葬料金や火葬場休憩室などは非課税ですので、単純な割り戻しはできません。
 この資料の金額には「飲食などの費用」や「教会への献金、牧師・オルガニストへの御礼」、「式場使用料」、また事後の費用である「御花料の返礼に関する費用」「墓地・埋葬に関する費用」など、当社から請求しない費用は含まれていません。またこれはそれぞれの内容を定価で算出した場合の金額であり、葬祭扶助などやむを得ない事情により行った減額は反映されていません。
亡くなった方の年齢及び性別

 亡くなった方の死亡時点での満年齢です。
 80代が最多で、次いで90代、70代の順でした。80〜99歳で70%超を占めています。この年度には59歳以下はいらっしゃいませんでした。

 性別は戸籍上の性別によります。
 国内の死亡者全体を見ると、男性がわずかに多いのですが、本データでは日本の教会の特性を反映して(※)女性比率が高くなっています。
※『日本基督教団年鑑2014』のデータでは、教団信徒の性別構成比がほぼ男性1対女性2となっています。

 なお、厚生労働省のデータ(※)を見ると、直近で公開されている平成27年(2015年)においては、60代で亡くなった方は10.89%(男性7.56%/女性3.33%)、70代20.75%(13.47%/7.28%)、80代37.10%(19.18%/17.91%)、90代22.31%(6.55%/15.76%)、100歳以上1.92%(0.29%/1.63%)となっており、本データはサンプル数が少ないながらもかなり近しい傾向が見て取れる結果となりました。
※『平成27年 人口動態統計月報年計(概数)の概況』(厚生労働省)参照
葬儀の主宰者

 亡くなった方から見て、その葬儀を中心になって執り行った人の続柄(関係)です。喪主(祭祀承継者)、遺族等の代表(対外的な代表者)、施主(葬儀費用を出す人)が異なる場合は、喪主の立場である人が最優先で、後見人等が行う葬儀で喪主が不在の場合には遺族等の代表を優先しています。
 「配偶者」には、事実婚や、過去の配偶者でその後も関係性が継続している人などを含みます。
 「直系親族」には、尊属(親や祖父母)卑属(子や孫)問わず含みます。また、養親や養子を含みます。
 「兄弟姉妹」には、配偶者の兄弟姉妹を含みます。
 「他親族」は、おじおば、甥姪、その他の民法上の親族(血族6親等、姻族3親等内)です。
 「後見人等」には、後見人、補佐人、補助人のほか、同居人、家屋管理人(住居、病院、福祉施設等の管理人)、教会の世話人、友人など、他の区分に当てはまらないものをすべて含みます。

 配偶者や子・孫が主宰者となるケースが4分の3を占めましたが、兄弟姉妹やその他の親族が行う場合も2割ほどありました。後見人や友人等が葬儀を行うケースはまだ目立って増えているわけではありませんが、今後はどうなるかわかりません。
葬式が行われた場所

 葬儀諸式のうち、中心となる式典が行われた場所です。例えば前夜式が自宅、葬儀式が教会堂で行われた場合は、「教会」となります。葬儀式などが行われなかった場合には、納棺式や出棺式、告別が行われた場所です。
 「教会」とは、教会、伝道所、その他礼拝を主たる目的とする施設(聖日のみ借用する施設を含む)です。
 「施設等」とは、老人福祉施設、介護付有料老人ホーム、障害者支援施設、病院等の、居室、集会室等です。
 「自宅等」とは、故人、親族、葬儀主宰者等の居宅または居所、あるいはそれに準ずるもののうち、「施設等」に含まれないものです。
 「その他」には、葬儀会館、地域集会所、集合住宅集会所など、他の区分に当てはまらないものをすべて含みます。

 日本の教会葬儀の特性として、その多くは教会で行われています。教会で行われない場合の事情としては、所属教会が判然としない、遠方から引っ越してきたが転会していない、遺族はクリスチャンだが亡くなった方はそうではない、などの消極的理由(教会で行うことが気が引ける)のほか、遺族の体調が優れず葬儀のために教会へ出向くことが難しいとか、入院の長期化などで教会から遠のいており、教会よりも施設内など終の棲家の周辺のほうが参列者が多いからという積極的理由(教会以外の場所で行いたい)のこともあります。
参列者の規模

 1日あたりの参列者の規模(前夜式・葬儀告別式などが分かれている場合は、最も多い1日)です。原則として司式者や奏楽者、教会の世話役なども含みます。

 100名未満が9割を超え、葬儀の小規模化が顕著です。教会堂で行われる葬儀であっても、教会員に告知せずに親族のみで行いたいという希望が出ることもあります(ただし、それを受け入れるかどうかは教会や教職の考え方にもよります)。
前夜式の持ち方

 前夜式がどのように持たれたか、あるいは持たれなかったかです。参列者の人数や範囲(親族に限るなど)はここでは問いません。
 「準葬儀」とは、葬儀告別式と概ね似通った内容で行われた場合です。
 「簡略」とは、葬儀告別式よりもプログラムを意図的に一部省いたり短くしたりして行った場合です。前夜式に代えて納棺式のみを行った場合なども含みます。
 「ビューイング」とは、礼拝などの式典を持たずに、参列者が亡くなった方や遺族とともに過ごす時間を持つことです。ここでは、会として開始・終了時間を設定し参列者に告知する場合のみを指し、特別に時間を設定しないような場合は「なし」としています。

 上記で見るように参列者の規模が減少している、遺族の高齢化で2日に渡る長時間の式典に耐え難い、参列者も退職している人が多く、前夜式でないと参列しにくいということがない、などの事情を背景に、前夜式が準葬儀として行われる割合は年々減少傾向にあるというのが実感です。ただし、前夜式の持ち方は地域や教会の習慣、教職の考え方にも左右されますので、このデータが全国的で一般的な傾向を示しているかどうかはわかりません。
1件あたりの葬儀費用の平均金額と構成

 供花代金を除く葬儀1件あたりの費用は平均で 642,332 円でした。

 グラフは当社料金4区分のそれぞれの平均値です。
 「基本的な物品とサービス」には、棺、霊柩車・寝台車、遺影、骨壺、ドライアイスほか遺体保全、看板類、受付用具、人件費、備品貸出費、その他特別の必要がある場合の費用が含まれます。
 「式場に飾る生花」は、そのままの意味です。
 「参列者数によって変わるもの」には、会葬礼品、会葬礼状、献花、式次第が含まれます。
 「実費となるもの」には、火葬料金、火葬場休憩室料金、分骨証明書発行手数料、タクシー・マイクロバス、テント類などが含まれます。
 より詳細な品目等については、 株式会社シャローム ウェブサイト の「料金のご案内」及び「仕様・価格一覧表」をご覧ください。
葬儀社に支払う費用の合計額の分布

 葬儀社に支払う費用(供花代金を除く)の合計額の分布です。
 最大値は 1,065,320 円、最小値は 310,080 円(※)、平均値は 642,332 円でした。
※内容を定価で計算した場合の最小値

 上記平均額を含む60万円以上70万円未満が最頻帯となっています。
 なお、このデータには含まれない「飲食などの費用」や「教会への献金(式場使用料を含む)、牧師・オルガニストへの御礼」を加えた額は、非常に大まかな目安としてですが、ここに示すそれぞれの額の1.5倍程度と考えて差し支えないと思います。(ただし、「御花料の返礼に関する費用」「墓地・埋葬に関する費用」などは含みません)
「@ 基本的な物品とサービス」(オプション含む)の分布

 「基本的な物品とサービス」(スタンダードセットにオプションの増減額を加味した合計額)の分布です。
 最大値は 604,800 円、最小値は 298,080 円、平均値は 445,373 円でした。
 スタンダードセットの価格は486,000円ですので、全体のおよそ3分の2についてはマイナスオプションによって価格が下回っていることが判ります。

 物品の追加やグレードアップが比較的多く選択されるのは、移送車両(寝台車)と遺体保全(ドライアイスや湯灌、遺体保管など)ですが、これらは死亡場所や葬儀までの日数、遺体の状態などから、実際的に選択の余地がほとんどないものばかりだといえます。
 一方、物品の削減やグレードダウンが比較的多く選択されるのは、棺や出棺車両など、機能の必要を満たせば見た目にあまりこだわらないという類のものと、遺影・看板類(※)・アシスタントなど、参列者規模の縮小に伴って必要性の薄れたものがあります。
※選択されるマイナスオプションのほとんどは、式場表看板の足下装飾生花のみの削減です。

 なお、式場への道案内板については、近年需要が大きく減ったために直近の改定時にスタンダードセットから外して看板類のプラスオプションに変更していますが、やはりほとんど使われていません。
「A 式場に飾る生花」及び「供花」の分布

 「式場に飾る生花」及び「供花」の分布です。上段のグラフは施主が負担した金額、中段のグラフは供花(持ち込みを除く)を含めた全体の生花規模です。

 施主負担額の最大値は 243,000 円、最小値は 0 円、平均値は 101,425 円でした。供花を加えた生花規模は、最大値は 561,600 円、最小値は 0 円、平均値は 136,372 円でした。ただしここで0の場合でも、遺族や友人が花束を買ってきたケースなどがありますので、生花の全くない葬儀というのは実際にはありませんでした。

 供花(持ち込みを除く)が1件以上あった葬儀の割合は、29.41%でした。下段のグラフは、その中での供花規模の分布で、最大値は 336,400 円、最小値は 10,800 円、平均値は 118,820 円でした。2〜4万円帯は親族や入居施設などのみから1〜2件の供花を受けるといった場合、14万円以上帯は故人が現役であったり交友関係が広い場合などに多く、中間はあまりありませんでした。
 ただし全体的に主宰者の希望による供花辞退も多く、2〜4万円帯でも「他の供花は辞退するが一部特定の相手からのみ受ける」などとした結果として生じているケースもあるため、供花を贈りたいという人が実際にどの程度いるのかということはここでは判りません。
「B 参列者数によって変わるもの」の分布

 参列者の人数によって金額が変動する、会葬御礼品・御礼状・献花・式次第(印刷物)の分布です。
 最大値は 255,960 円、最小値は 0 円、平均値は 47,469 円でした。また、全体の約3分の1がゼロとなっています。

 参列者のほとんどが親族などの場合には、会葬御礼品(※)や御礼状を用いないことも多くあります。
※関東など、地方によってはいわゆる香典返しを兼ねて行われることが一般的なこともありますが、阪神間ではあくまでも葬儀に足を運んでくださったことへの感謝の印として行われることが一般的です。
 献花も、参列者が近親者ばかりのときには一人ずつのテーブル献花を行わずに、式場に飾ってある生花を参列者皆で柩に入れることで献花を兼ねることも多くなっています。
 式次第(印刷物)は、PCや印刷機の普及、また印刷部数の減少によって近年多くの教会で自作されており、我々が印刷することは少なくなっています。
「C 実費となるもの」の分布

 火葬料金・火葬場休憩室・分骨証明書発行手数料、タクシー・マイクロバス、テント類など、実費を立て替えるものの分布です。
 最大値は 154,440 円、最小値は 10,000 円、平均値は 48,065 円でした。

 阪神間における火葬料金は、市民料金で概ね10,000〜20,000円、市民外料金はその2〜3倍(※)であることが多く、4万円弱〜5万円強となるマイクロバス料金の影響の方が相対的に大きくなっています。最大値となったものは、火葬料金が市民外料金であった上に、親族の数が多くマイクロバスが2台必要となったためで、稀なケースだといえます。また最小値は火葬料金の市民料金のみで、火葬場へは自家用車などで向かったというケースです。
大阪市などは市民料金10,000円に対して市民外料金60,000円などとなっており、この例に当てはまらないものもあります。
平均額に近い葬儀費用の構成モデル

グループと平均額品目(仕様)変更・単価等数量金額
@ スタンダードセット
+ オプション
スタンダードセット486,000
洋式棺(白木)標準 → 汎用プリント棺(木目)1本-37,800
洋式霊柩車(黒・外車)標準1台0
寝台車(紺・国産車)標準1台0
遺影写真セット(前花付)標準1組0
骨箱(4寸まで)標準1個0
出棺用花束標準1束0
ドライアイス標準2日0
式場表看板(各日・足下生花付)標準 → 足下生花なし2枚-8,640
式場アシスタント(1名×2日)標準2名0
受付セット標準一式0
出張費・設営費・備品貸出費等標準一式0
(445,373)@の小計439,560
A 式場に飾る生花スタンド生花1対43,200
センター生花1組64,800
(101,425)Aの小計108,000
B 参列者数によって変わるもの前夜式御礼品@54030個16,200
当日式御礼品@54030個16,200
御礼状(当日のみ)864/10枚30枚2,592
献花(カーネーションmix)2,700/10本30本8,100
(47,469)Bの小計43,092
C 実費となるもの火葬料金(神戸市民・大人)1体12,000
マイクロバス(出棺+骨揚)1台39,000
(48,065)Cの小計51,000
(642,332)葬儀費用合計641,652
最小額に近い葬儀費用の構成モデル

グループと最小額品目(仕様)変更・単価等数量金額
@ スタンダードセット
+ オプション
スタンダードセット486,000
洋式棺(白木)標準 → 汎用プリント棺(木目)1本-37,800
洋式霊柩車(黒・外車)標準 → 寝台車に変更1台-11,880
寝台車(紺・国産車)標準 → なし--25,920
遺影写真セット(前花付)標準 → なし--41,040
骨箱(4寸まで)標準1個0
出棺用花束標準 → なし--8,640
ドライアイス標準 → 削減1日-12,960
式場表看板(各日・足下生花付)標準 → 足下生花なし2枚-8,640
式場アシスタント(1名×2日)標準 → なし--34,560
受付セット標準一式0
出張費・設営費・備品貸出費等標準一式0
(298,080)@の小計304,560
A 式場に飾る生花---
(0)Aの小計0
B 参列者数によって変わるもの----
(0)Bの小計0
C 実費となるもの火葬料金(西宮市民・大人)1体10,000
(10,000)Cの小計10,000
(310,080)葬儀費用合計314,560

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