word : 棺 [ひつぎ]
subword : 棺箱[かんばこ]/棺桶[かんおけ]/寝棺[ねかん]/座棺[ざかん]/柩[ひつぎ]/洋型(洋式)棺[ようがた(ようしき)かん]/棺覆い[かんおおい]/棺掛け[かんかけ]
【棺】とは、遺体を納める器のこと。現在の日本で一般的な直方体の箱形の棺は【棺箱】ともいう。また火葬普及前に主流だった桶型の棺を【棺桶】と呼び、現在でも棺箱を含む棺の総称として用いられることがある。棺桶には遺体を座らせて納めるため【座棺】とも呼ばれ、それに対し棺箱は遺体を寝かせて納めるため【寝棺】とも呼ばれる。
「ひつぎ」は【柩】とも書き、俗に遺体の納められたそれを「柩」、物としてのそれを「棺」と書くと言われている。しかし柩はもともと棺を運搬するための輿などを指したといわれており、また「棺」にはもともと「かん」という読み方しかなかったらしく、時代とともに変化していったようである。
英語では普通「coffin」と言うが、北米などでは「casket」(宝石箱の意)と呼ばれ、比較的豪華な作りになっている(らしい)。資料によっては、肘の部分が広がった棺を「coffin」、ストレートの棺を「casket」と言う、と解説しているものもある。
現在の日本では棺の素材は主に木である。しかし世界を見れば、木のほか石・金属・紙類(段ボールなど)などの素材の棺も珍しくない。日本でも近年は竹や籐の棺、ウッドチップを加工した燃焼性の高い棺、また部分的に和紙などを使った棺なども見られる。
【洋型(洋式)棺】とは、寝棺の内、蓋の三分〜五分程度を完全に開ける(または取り外す)ことができる形状の棺を、通常の棺と区別するための業界内呼称。現在日本で多く用いられているのは、蓋に顔部分だけを覗ける覗き窓(プラスチックフィルムがはめ込まれていることが多い)がついている形状の棺であるが、それらと比べ遺体との距離感が近い(蓋を取り払わなくても直接触れることができる)ため、近年の葬儀観の変化と共に、特に死に対して忌避意識の薄いキリスト教葬儀や、無宗教葬やいわゆる家族葬などの故人との繋がりを第一義に考える葬儀などでは選択されることも増えてきた。ただし普及しているとはとても言い難く、製造者もあまり製造しないため、残念ながら種類も少なく価格も高くなる傾向が強い。なお一般の人に洋型(洋式)棺と言うと、五〜八角形を伸ばしたような形状の寝棺(ドラキュラの棺など)を想像する人が多いようだが、日本では火葬炉の都合などからそういった棺が用いられることはほとんどない。
▲ 洋型(洋式)棺の一種
→関連項目 棺の話
【棺覆い】とは、棺に掛ける布製の覆いのこと。【棺掛け】ともいう。
キリスト教葬儀の場合は中央に刺繍などで十字架をあしらっていることが多い。日本人の西洋葬儀に対するイメージから黒布であることが多いが、私は乳白色の布を用いている。
▽ 注釈・参考資料等
< 注釈 >
< 参考資料 >
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