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質問
葬儀社のカタログにある棺の名称の見方が判りません。特に「最上等棺」などの名称は何を示しているのですか?
回答
実際のところ、名称には決まりがなく判断の参考にはなり難いです。

 棺の名称は多くの場合、材質・形状・大きさ・表装・用途など、仕様の一つあるいは複数の組み合わせによって表されています。例えば「桐Rインロー二面彫刻棺」といえば、白木棺で表面材質が桐材(桐)であり、蓋が蒲鉾のように丸く(R)、蓋の縁が印籠のように本体に被さる形状で(インロー)、二つの側面に彫刻の装飾が施されている(二面彫刻)棺のことです。また「山型布張幅広棺」といえば、蓋が山型で(山型)、表装は布張りであり(布張)、標準的なサイズよりも幅が広く作られている(幅広)棺のことでしょう。もちろんメーカーや販売店によって商品固有の名称が付けられる場合もありますが、普通は消費者がその名称から商品を想像することは困難なため、専らその商品の仕様を認識している事業者間の取引において用いられるに止まります。

 ところで、葬儀社が消費者に対して商品を提示する段階においては、これら仕様に関する詳細な名称がそのまま用いられるとは限りません。一般に、一つの葬儀社が取り扱っている棺は数種類に止まり、また他社商品との比較を前提としていないことが多いため、仕様を表す名称は最低限度に止めてその社内におけるグレードなどで呼称することが多いのです。このため、同じ二面彫刻棺がA社では「白木最上等棺」と呼ばれ、B社では「彫刻棺(並)」と呼ばれるようなこともあり、ご質問のように消費者にとって判りづらいものとなっているのが実情です。

 このように、現在ではそれぞれの葬儀社が棺の名称を自由に表記していますから、実際にはその葬儀社に対して仕様を詳細に訊いてみなければ商品の実態は判明しません。消費者の利益のためにも、この問題はこれから業界全体をあげて取り組んでいかなければならない課題だと思います。
[ 回答者:高見晴彦 ] 2013/10/10
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Q.棺にはどんな種類があるんですか?
実務者・研究者への補足
 「最上等棺」などの表記は、客観的・合理的な根拠を示すことができなければ不当景品類及び不当表示防止法等に抵触する可能性もあり得る。これはたとえ、広告等によって行われる他社との比較による顧客の不当誘引とならなくとも、専ら直接に商交渉を行う段階にある顧客に対し提示するカタログ等に掲示する社内におけるグレードの比較である場合においても、顧客に一部商品の品質の程度が常識的に劣っているなどと誤認させ、より高価な商品を選択するよう誘導してしまう可能性を生じせしめるなど、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるため注意が必要である。