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質問
棺にはどんな種類があるんですか?
回答
材質や構造、表装などにより、じつにさまざまな種類があります。

 現在日本では火葬が一般的なため、使用されている棺の本体はほとんどが木製です。またその本体の工法は、ほとんどの場合「突き板張り」と呼ばれるもので、木材の骨組みの上に薄くスライスした木板を貼ったものです。これは、一枚板を使うものよりも材料調達の便・価格の抑制・重量の軽減・火葬時間の短縮や燃料の節約などの面で優れているためです。

 本体にはこのような傾向がありますが、表装の仕様は近年、技術の向上や消費者の要望拡大などを背景に非常に多岐に渡るものとなっています。主に流通しているものを大きく分類すると、表面木材をそのまま見せる「白木棺」、表面に布を張った「布張棺」、木目などが印刷された洋紙を表面に貼る「プリント棺」の三種に分けられるでしょう。
 白木棺は表面に使用する木材の種類や品質により質感や価格に開きがあり、桐などは流通量も多く比較的安価ですが、檜などは高価です。また木材の産地による価格の差もあります。さらに彫刻などの装飾が施されることもあり、それに伴って価格も上昇します。
 布張棺も表面に使用する布の種類や品質により質感や価格に大きな開きがあります。色や柄のバリエーションが豊富で、刺繍などの装飾が施される場合もあります。白木棺に比べ個性が表現しやすく、価格のわりに豪華に見え、また近年主流となってきた洋花系祭壇にマッチしやすいなどの理由から、近年流通量を大きく増やしています。
 プリント棺は木材の品質が表出しないため比較的安価に流通しています。印刷ですから技術的には柄にもさまざまなバリエーションがあり得ますが、そのほとんどは白木棺に似せて木目が印刷されています。

 このほか、流通量は少ないですが本体に竹や籐などを使ったもの、木棺に漆塗りや蒔絵などを施したもの、強化段ボールなどを使い環境への取り組みを行っているものなどがあり、時代とともに変化しています。
[ 回答者:高見晴彦 ] 2013/10/09
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Q.葬儀社のカタログにある棺の名称の見方が判りません。特に「最上等棺」などの名称は何を示しているのですか?
Q.ボクの葬儀では、棺をみっくみくにしてくれませんか?
実務者・研究者への補足
 『増補三訂 葬儀概論』(碑文谷創,表現文化社,2011)では棺の大区分として、@一枚物の天然木を使用した「天然木棺」、A突板張及びプリント合板の「フラッシュ棺(偽棺)」、B「布張棺」とされている。しかし流通品のほとんどを突板張棺が占めるようになった現在では、本回答にいう白木棺(概論にいうフラッシュ棺の一)を天然木棺という流れが定着してきているため、本回答では天然木棺という表現を避け、表装の仕様にのみ注目して区分した。一般消費者にとってはこのほうが比較しやすいのではないかと思われる。
 なお棺メーカーに実感を訊いたところ、布張棺の流通が大幅に拡大したのは2005年頃以降のことであり、大都市圏(主に関東圏)から始まり全国へ広がったようである。同様の変化として遺影額の多色化などが挙げられるだろう。本回答に述べるように、葬儀の個人化・脱慣習の流れや葬儀単価の下落などとも連動しているものと考えられる。

[2013/10/30追記] 漆塗り棺について、火葬時の燃焼効率が悪いために使用を禁止している火葬場が存在するとの情報が入った(千葉県船橋市馬込斎場等)。また逆に、いわゆるエコ棺類について、送気管が数基の炉に連結されているタイプの火葬炉では通常の棺と同時に燃やすとエコ棺類だけが燃えやすいためにその炉にばかり空気が流れ込んで他の炉が不完全燃焼を起こす可能性があるという問題が生じているという情報もある。